一般社団法人 日本劇作家協会
2025年8月25日公開
1.目的
2.適用範囲
3.基本原則
4.ハラスメントに該当する主な行為
5.FAQ (よくある質問)
6.附則
別ページ.
ハラスメント防止ガイドライン
ハラスメント事案の対応要綱
ハラスメント申告フォーム

1.目的
本細則は2023‑03‑25 改訂版「ハラスメント防止ガイドライン」(以下「ガイドライン」)の理念を、「げきじゃ!」事業の実務に落とし込む補完文書である。ガイドラインを上位規程とし、本細則は現場での判断・行動の目安を示す。日本劇作家協会が主催する事業「げきじゃ!」(準備・稽古・懇親会等を含む)に参加するすべての人が、安全かつ尊重された環境で活動できるよう、ハラスメントの未然防止と迅速・適切な対応を定めることを目的とする。
2.適用範囲
参加者(委員・スタッフ・出演者・ボランティアを含む)が事業に関連して行う一切の行為。
オンライン業務、オフライン業務、業務時間外(深夜の電話連絡・懇親会など)も含む。
共同主催者ハレノワや関係団体との事業においても本細則を準用し、必要な協議を行う。
3.基本原則
尊重と公平:年齢・性別・役職・所属を問わず相互に尊重し、意思決定は透明かつ合議で行う。
安全と選択:宿泊・移動・業務時間・酒席等において、個人の希望・安全を最優先とし、拒否の権利を保障する。
境界の明示:業務連絡は原則 22:00–8:00 を避ける。やむを得ず深夜に連絡が必要な場合は、事前に合意を得る。
4.ハラスメントに該当する主な行為
下記は、日本劇作家協会の催事において ハラスメントとみなされる代表的な行為です。ここに挙げていない場合でも、相手の尊厳や安全を損なう行為はすべてハラスメントに該当します。
1)性的言動・身体接触・性的関係の示唆や強要
・ 性的関係をほのめかす、要求する発言。
・ 性的なあだ名・比喩で呼ぶ、性的ニュアンスで紹介する。
・ 性的価値観を問う、告白させる、他者の性的嗜好や性自認などのプライバシーを暴露する(アウティング)。
・ パーソナルスペースの侵害(近づきすぎ)、同意なく身体に触れる、頭をなでる、写真撮影時に肩を抱く。
・ 性的な話題に強制参加させる。
2)立場の優位性を利用した威圧・嘲笑・恫喝・長時間拘束
・ 役職・キャリアを盾に怒鳴る、人格を否定する。
・ 公の場で意見を聞かずに嘲笑・却下する。
・ 椅子や机を蹴る・叩くなどで威圧する。
・ 立場の上位者が関係のない話題で盛り上がり、業務終了時間を示さない。
3)深夜早朝の一方的な連絡・呼び出し
・ 22:00〜8:00に事前合意なく電話・DM・スタンプを連投する。
・ 深夜に長電話やボイスチャットで説教・圧迫を続ける。
・ 緊急でないのに「今すぐ来てほしい」と呼び出す。
4)酒席・懇親会への強制参加、退席の妨げ
・「女性がいないと場が持たない」など、女性に接待の役割を期待して呼び出す。
※このような行為は性別やセクシュアリティに関わらない。
・ 退席を引き止めて参加を強要する、次の店への移動を断ると不機嫌になる。
・ お酌の強要。
・ 説教や身体接触、飲酒及び一気飲みや乾杯ショット等の強要。
5)その他、人権を侵害し安全・尊厳・健康を損なう行為
・ 差別的・侮辱的な言動や陰口、SNS・チャットでの攻撃的メッセージ。
・ 国籍・性別・障がい・セクシャリティなど、個人の属性に基づいた差別的な発言・行動。
・ 外見や年齢による偏見に基づいた発言・行動。
・ 許可のない動画撮影、および発信。
・ 極端な長時間拘束や不公平な業務量の押しつけ。
・ 経費の長期立替えを強要する、不当な個人負担を生じさせる。
・ ハラスメント加害者という理由で、加害者の人権を無視する行為。
※ 自己紹介をする際や、知らない人が訪れた場合、自分や著名な方々だけでなく、その場の全員を紹介するようにしましょう。劇作家フェスティバルは、皆でつくるものです。
これらの行為が確認された場合は、日本劇作家協会の申告フォームよりお知らせください。申告者の安全確保を最優先しつつ、対応要綱に則り、専門の臨床心理士と対応委員会が対処してまいります。
5.FAQ (よくある質問)
Q. お酒の席で口説くのはハラスメントですか?
A. パワーが背景にあり、お酒の席にいること、プライバシーに関わるやりとりをしていること自体が、断りにくい状況になっていることの無自覚さ、「自分は好かれているから大丈夫」という誤解がある場合には、ハラスメントになりえます。
Q. LINEの既読スルーはハラスメントになりますか?
A. 即返信を強要する言動がハラスメントとなり得ます。時間帯を配慮して待ちましょう。
Q. 写真をSNSに上げてもいい?
A. 被写体の許可を必ず取り、タグ付けや公開範囲も本人に確認してください。
Q. 戯曲の内容に関して「こう書くべき」と強く言われました。これは指導ですか?
A. 創作への助言は歓迎されるべきですが、人格否定や強要を伴う言動はハラスメントに該当します。創作は自由であるべきで、対話を通じた提案が基本です。
Q. 「若手だから雑務をやって当然」と言われました。断ってもいいですか?
A. 年齢やキャリアによる業務の偏りは不当です。断ることは権利であり、ハラスメント防止の観点からも重要です。
Q. 公演後の打ち上げに参加しないと「ノリが悪い」と言われました。気にしなくていい?
A. 参加は任意です。強要や評価への影響をほのめかす言動はハラスメントに該当します。個人の選択を尊重しましょう。
Q. 「演劇界ではこれくらい普通」と言われましたが、納得できません。
A. 慣習や文化を理由にした不快な言動もハラスメントになり得ます。違和感を覚えたら、遠慮せず声を上げてください。
Q.ハラスメントを受けた場合、または目撃した場合、その場で意思表示をする方法はありますか。
A. その場から退席したり、「今、あなたは〇〇をしています。それはハラスメント行為です。やめてください」と、伝えることは加害ではありません。直接的に伝えられない場合は、同席する人に助けを求めてください。そして日本劇作家協会のフォームから申告してください。
立場が上と感じる相手でも、加害者は加害に無自覚な場合が多く、それを指摘することは悪いことでは全くありません。
日本劇作家協会は、ハラスメントのない空間を目指しています。
6.附則
施行日:2025年8月25日
本細則は劇作家協会ウェブサイトとげきじゃ!特設サイトにおいて公開する。
別ページ.
ハラスメント防止ガイドライン
ハラスメント事案の対応要綱
ハラスメント申告フォーム