戯曲セミナーって、どんなセミナー?

演劇界への扉が開いた!
基礎から実践テクニックまで
鈴木 長田さんがセミナーを受講したのは、何年前になりますか?
長田 2007年に参加しました。それまで私はミュージカルを書いていたんですが、30歳になるころ、これから現代演劇をやりたいって思ったんです。でもどうやって現代演劇の世界に入っていったらいいか全然わからなくて。
戯曲セミナーに行けば、少なくともいま現代演劇を書こうとしている人に会える。いま第一線で演劇を作っている先生方に一番近いところに行ける。そこに行かないと出会えない人たちがいて、行けば確実に出会えるはず。えいって気持ちで行きました。
鈴木 どんな人が来てました? 演劇を実際にやっている人も多かった?
長田 私の同期には劇団をやっている人は少なかったんですけど、ひとり芝居で全国を回る俳優さんとか、オリジナリティのある人が多い期でした。
鈴木 生徒さんの年代の幅もけっこうありますよね。
長田 すごくあります。若手は20歳くらいから、上は定年を過ぎた方も。
鈴木 劇作家をめざす人ももちろん多いけど、自分の楽しみとして演劇を勉強したいっていう人も、このところ増えてる気がする。
長田 同期の中にも、長年演劇ファンで、方法論を知りたくなったから来たっていう人もけっこういました。東京以外からも来ていて、いま大阪に住んでるとか、そういう人も。活動している人とはお互い連絡取り合ったり、いまだに同期とはつながりがあります。あと、戯曲セミナーって1年で終わるんですけど、セミナー出身者って言うと、いろんな先生方に出身者ならがんばれって言ってもらえたり、私自身も出身なんですって人に出会うと、じゃあ通し稽古来ませんか?って誘ったり。
鈴木 戯曲セミナーはもう14年続いている。卒業生の数もかなりのものですよね。
長田 セミナーの間だけのつながりじゃなく、ずっと続いていくつながりに発展させていくことができるので、これはもう本当に戯曲セミナーに入ってよかった。1年限りで終わるカルチャースクールとは違って、その人次第ではありますが戯曲セミナーは……。
青木 終わらない。
長田 はい。受講料は、演劇界の扉をくぐるためのなにかとしても考えていただけるといいかなって思ってます。

戯曲セミナーに行けば、少なくともいま現代演劇を書こうとしている人に会える。いま第一線で演劇を作っている先生方に一番近いところに行ける。そこに行かないと出会えない人たちがいて、行けば確実に出会えるはず。えいって気持ちで行きました。
鈴木 どんな人が来てました? 演劇を実際にやっている人も多かった?
長田 私の同期には劇団をやっている人は少なかったんですけど、ひとり芝居で全国を回る俳優さんとか、オリジナリティのある人が多い期でした。
鈴木 生徒さんの年代の幅もけっこうありますよね。
長田 すごくあります。若手は20歳くらいから、上は定年を過ぎた方も。
鈴木 劇作家をめざす人ももちろん多いけど、自分の楽しみとして演劇を勉強したいっていう人も、このところ増えてる気がする。
長田 同期の中にも、長年演劇ファンで、方法論を知りたくなったから来たっていう人もけっこういました。東京以外からも来ていて、いま大阪に住んでるとか、そういう人も。活動している人とはお互い連絡取り合ったり、いまだに同期とはつながりがあります。あと、戯曲セミナーって1年で終わるんですけど、セミナー出身者って言うと、いろんな先生方に出身者ならがんばれって言ってもらえたり、私自身も出身なんですって人に出会うと、じゃあ通し稽古来ませんか?って誘ったり。
鈴木 戯曲セミナーはもう14年続いている。卒業生の数もかなりのものですよね。
長田 セミナーの間だけのつながりじゃなく、ずっと続いていくつながりに発展させていくことができるので、これはもう本当に戯曲セミナーに入ってよかった。1年限りで終わるカルチャースクールとは違って、その人次第ではありますが戯曲セミナーは……。
青木 終わらない。
長田 はい。受講料は、演劇界の扉をくぐるためのなにかとしても考えていただけるといいかなって思ってます。
基礎から実践テクニックまで

鈴木 セミナーは連続した演習的な講義と、いろんな劇作家たちが次々と出てくる一コマ読み切り的な講義との、組合わせでできてますよね。
長田 一年間に大体25人くらいの先生がいらっしゃいました。私の年は、最初に横内謙介さんに概論みたいなことをお話しいただいて、それから比較的わかりやすく、プロットとはなんぞやとか構造的な書き方を教えてくださる先生が続いて、それから実践的な授業もあって。土田英生さんの授業も印象的でした。5行のふたりの会話で、彼らが恋人同士だったことをわからせるとか。
鈴木 たった5行?
長田 最初はそうです。まずは5行の中で、ふたりが別れた恋人同士なことがわかればいい。だんだん条件が加わって、10行の中で場所は駅のプラットフォームで電車が来ないとか、有名レストランの帰りだとかをわからせる。
鈴木 それはいい練習になりそうだな〜。ちょっとやってみたいね。
長田 受講生が書いたのを土田さんが直すと、やっぱり面白くなるわけですね。
鈴木 具体的に教わったことで、これが役に立ったってことはありますか?
長田 いろんなパターンのプロット構造を教わりました。一番プレーンなのはよく言われる序破急ですよね。他に、『オイディプス』みたいな最初に呈示された大きな謎を解明していく方法とか、謎とそれに対する答えの連続で成り立っている戯曲とか、プロットから戯曲の読み解き方を教えてもらったり。
斎藤憐さんは、戯曲に於いて一番大事なのは登場人物の登退場だっておっしゃっていました。ある情報を持った人が入ってんだっていう根本的なことを、そこで教わったような気がします。映画ではなくて、限られた舞台の中でどうやるかに特化して教わったので、そういう意味では映像のシナリオセンターとは違うやり方ですね。
鈴木 なるほど。青木先生は講義ではなにを?
青木 僕はグローブ座で『エデンの東』を書いたときに、演出の鈴木裕美さんから、ハリウッドラインを徹底的に教わったんですよ。どうドラマは動くべきかっていうハリウッドラインの書き方を講義しつつ、自分がこれまでどうやってきたかを話すようにしてましたね。
鈴木 前川先生は?
前川 情報の出し方を意識的にやるってこととか。
鈴木 作劇のテクニックですね。
前川 そう、テクニカルな情報の出し方。それから、誰に向けてやってるかを明確にすること。舞台を観に行くと、お客さんにどう伝えるのか、伝えたらどうなるのかを意識せず、自分たちがこれを言いたいってだけのところで止まってしまっているものがあって。あと、書き方以前の、自分の方法論を見つけるためにはどうしたらいいかっていうこと。こういう失敗をして、こういう成功体験があって、自分はこうやってきました、いまこうして書いていますっていうことを。全然違うことを言う人もいるだろうけれど。
長田 実践的なことの他に、講師の劇作家さんが自分の作品について語ったり、題材をどこから探すかとか、舞台装置や音響や照明にどうこだわったかとか、芝居を立ち上げるやりかたや、演劇の哲学や美学みたいなものを語ってくださる。それがすごく大きかったですね。前川さんがおっしゃるように、年間を見渡すと、真逆のことを語っている方たちもいらっしゃるんです。でもそれによって、演劇の考え方の引き出しが増えていく。そのときはわからなくても、2、3年経ったあとに支えになったり。未だに困ると、ノートをほんとに読み返しています。
**[写真] 上から:長田育恵、鈴木聡、講義中の青木豪、講義中の前川知大
長田 一年間に大体25人くらいの先生がいらっしゃいました。私の年は、最初に横内謙介さんに概論みたいなことをお話しいただいて、それから比較的わかりやすく、プロットとはなんぞやとか構造的な書き方を教えてくださる先生が続いて、それから実践的な授業もあって。土田英生さんの授業も印象的でした。5行のふたりの会話で、彼らが恋人同士だったことをわからせるとか。
鈴木 たった5行?
長田 最初はそうです。まずは5行の中で、ふたりが別れた恋人同士なことがわかればいい。だんだん条件が加わって、10行の中で場所は駅のプラットフォームで電車が来ないとか、有名レストランの帰りだとかをわからせる。
鈴木 それはいい練習になりそうだな〜。ちょっとやってみたいね。
長田 受講生が書いたのを土田さんが直すと、やっぱり面白くなるわけですね。
鈴木 具体的に教わったことで、これが役に立ったってことはありますか?
長田 いろんなパターンのプロット構造を教わりました。一番プレーンなのはよく言われる序破急ですよね。他に、『オイディプス』みたいな最初に呈示された大きな謎を解明していく方法とか、謎とそれに対する答えの連続で成り立っている戯曲とか、プロットから戯曲の読み解き方を教えてもらったり。
斎藤憐さんは、戯曲に於いて一番大事なのは登場人物の登退場だっておっしゃっていました。ある情報を持った人が入ってんだっていう根本的なことを、そこで教わったような気がします。映画ではなくて、限られた舞台の中でどうやるかに特化して教わったので、そういう意味では映像のシナリオセンターとは違うやり方ですね。
鈴木 なるほど。青木先生は講義ではなにを?
![[講義中の青木豪] Image](/main/images/2015photo/aoki3s.jpg)
鈴木 前川先生は?
前川 情報の出し方を意識的にやるってこととか。
鈴木 作劇のテクニックですね。
![[講義中の前川知大] Image](/main/images/2015photo/maekawa3s.jpg)
長田 実践的なことの他に、講師の劇作家さんが自分の作品について語ったり、題材をどこから探すかとか、舞台装置や音響や照明にどうこだわったかとか、芝居を立ち上げるやりかたや、演劇の哲学や美学みたいなものを語ってくださる。それがすごく大きかったですね。前川さんがおっしゃるように、年間を見渡すと、真逆のことを語っている方たちもいらっしゃるんです。でもそれによって、演劇の考え方の引き出しが増えていく。そのときはわからなくても、2、3年経ったあとに支えになったり。未だに困ると、ノートをほんとに読み返しています。
**[写真] 上から:長田育恵、鈴木聡、講義中の青木豪、講義中の前川知大