劇作家の最低上演料に関する決議

 

日本劇作家協会は1995年5月13日の年次総会において、下記の「劇作家の最低上演料に関する決議」を採択いたしました。本決議は個々の会員を法的に拘束する性格のものではありませんが、大多数の会員が最低限の妥当な上演料と考えるものです。戯曲の上演に際しましては、本決議の内容にご理解とご協力を賜りますよう、お願いいたします。




(1) 委嘱料、再演料など名目を問わず、最低上演料は公演の総予算の5%とする。
(2) ただし、いかなる時にも100万円は下らない。
(3) この基準は非営利の公演には適用しない。



【補足説明】
(1) 5%の計算の基礎となる「公演の総予算」とは、出演・音楽・文芸費、会場・舞台費、宣伝費にとどまらず、チケット販売手数料、公演期間中の事務所経費、地方公演における交通費や宿泊費をも含んだ、上演に必要な全てのコストと理解しております。現実の契約の際には、制作体に総予算額を提示してもらい、劇作家が合理的な金額だと納得できれば交渉に入れますので、シンプルに処理できるのが利点です。

(2) この方法では、例えば東京公演と地方公演が当初から予定されているならば、その全体の総予算が計算の基礎額となります。この場合、演劇鑑賞団体の支出する劇場費なども当然総予算に含まれます。これに対して、東京公演後に地方公演が決定した場合には、それだけ総予算は増加すると思いますが、増加額について新たに上演料の上乗せ分を計算することになります。

(3) 「総売上のパーセンテイジ」という案も出されましたが、「チケットの総売上」という意味ならば助成金やスポンサー収入が基礎額に参入されないことになり、適当ではないと考えました。また、現実のチケット売上を把握するのは劇作家には困難ですし、公演終了まで上演料が決定できないという欠点も指摘されました。

(4)「劇場ごとにランクを設けて固定料金を定めてはどうか」という案も出されましたが、フリースペースであれば客席数は変動しますし、地方の公民館などランク分けの困難な場合もあり現実的ではないと判断しました。

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