日本劇作家協会 会員の皆さまへ

2020年4月13日  
日本劇作家協会 会長 渡辺えり 

 本年2月以来、新型コロナウイルスの感染防止のため、さまざまな経済活動・文化活動が自粛および休止を余儀なくされています。4月7日には政府より「緊急事態宣言」が発出され、その趨勢はますます強まっています。
 そのような中で、演劇に関わる人々はほんとうに困っています。キャストやスタッフ、そして何よりも観客の皆さんの安全を考えると、公演を自粛・中止せざるをえないのです。そのために仕事を失い、得るべき報酬を失うが人がたくさんいます。
 私たち劇作家も大いに困っています。戯曲執筆には多くの時間と労力がかかります。それらがすべて無になってしまう悲しみと徒労感を多くの劇作家が感じています。「せめてこの労力に見合った報酬を」と思います。
 一方、演劇公演の場合、利益が第一の目的ではなく、経費を切り詰めてがんばっている上演団体、制作者が多くあることも私たちは知っています。悩みます。困っている団体や制作者をさらに困らせるようなことはしたくないのです。ですが、それでも、劇作家は自らの生活と劇作を継続できる環境を維持しなくてはなりません。
そこで、日本劇作家協会は会員の皆さんの権利と生活を守るために声を上げようと思います。以下のことを上演団体および国に求めます。


1.戯曲の執筆が完了している場合、公共・民間を問わず、契約時に約束された戯曲執筆・提供に関わる報酬を、全額受け取ることができること。
1.その後の続演等についても、当協会の「劇作家の最低上演料に関する決議」に基づいた報酬額を支払われること。
1.報酬を支払うべき上演団体に、その額を支払う資金力がない場合、可能な限り迅速に、現金の給付を可能とするよう、国が支援すること。
1.また、公共・民間問わず、戯曲の執筆が完了していない段階で、新型コロナウイルス感染防止を理由とした公演中止等により、戯曲執筆の業務自体が消滅した場合、すでに戯曲執筆のために費やした労力に対する、合理的と思われる報酬が支払われること。
1.この場合も、報酬を支払うべき上演団体に、その額を支払うべき資金力がない場合、可能な限り迅速に、現金の給付を可能とするよう、国が支援すること。


 新型コロナウイルスは世界中の経済・文化に甚大な被害を与えています。報道によれば、ドイツのグリュッタース文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言し大幅なサポートを約束したそうです。「これは経済的な救済であるだけでなく、中止・キャンセルによって激しく揺さぶられている文化の世界を救うことでもあるのです」と。
 私たちは、私たちの国の文化庁にも、文化に対するこの深い洞察と理解ある姿勢を求めていきたいと思います。
 劇作は、孤独という人間本来の感覚と向き合い、その昇華へ向けて執筆していくことだとも思います。いま私たちは集うことも密接なコミュニケーションをすることも絶たれ、心細い状況に身を置かざるをえなくなっています。いまこそ劇作の力を保っていきましょう。互いに支え合っていきましょう。協会は協会員の皆さんを孤立させません。これからも、変化する状況の中で、皆さんのために何ができるかを考え続けていきます。
 ご意見・アイデアがあれば、ぜひお寄せください。

[備考]
「劇作家の最低上演料に関する決議」は、以下の通りになっています。
(1) 委嘱料、再演料など名目を問わず、最低上演料は公演の総予算の5%とする。
(2) ただし、いかなる時にも100万円は下らない。
(3) この基準は非営利の公演には適用しない。

[ご意見・アイデアの送付先]
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