演劇の創造現場からあらゆるハラスメントや性加害をなくしていくために私たちは発言し行動します

 3月以降、以前にも増して、報道やSNS上で演劇、映画界における様々なハラスメントや性加害の事例が取り上げられ、意見が交わされています。これらは近年急に起こったことではなく、演劇、映画界において多く行われていた悪質な行為について、声をあげる方々が増えたに過ぎません。
 劇作家は、演出家、制作者と並んでキャスティングに関わる場面も多く、強い権力性を有します。私たちは、その権力性を自覚し、自らの行動を律する必要があります。また声を上げられた方たちの小さな声、まだ声を上げることのできない方たちの声なき声にも真摯に耳を傾けるべきだと考えます。

 去る3月18日には、映画監督有志によって「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」という声明が発表されました。
 私たち劇作家協会有志は、この声明に賛同し、また必要な協力を行っていきます。

 日本劇作家協会は、2020年、協会内におけるハラスメントの予防・解決に向けた取り組みの第一歩として、「セクシュアル・ハラスメント事案への対応に関する基本要綱」を策定し、被害の申告への対応手順をまとめました。また、現在はセクシャルハラスメントに限定されないハラスメント全般についての対応手順のとりまとめを進めています。
 これらの対応手順(いわゆるガイドライン)は、基本的に協会内での事業に関する対応ですが、劇作家個々人があらゆる暴力、ハラスメント、性加害を行わない、加担しないように注意を払うべき点は言うまでもありません。
 劇作家協会有志一同は、演劇界全体が、ハラスメントが起きにくい環境へと転換できるように、関係団体にも呼びかけ努力を続けていきたいと考えます。
 また、ハラスメントの防止や、起こってしまったときの対応は個々の劇場や劇団では限界があります。文化庁などの公的機関がハラスメント対策の予算化、あるいは相談窓口の設置などに動くようにも働きかけていきたいと考えます。


2022年5月13日 
一般社団法人日本劇作家協会 有志 
  

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