TPP・児童ポルノ法をどう見るか?   
そもそもTPPとはなんぞや?

福井: TPP(環太平洋経済連携協定)は、ただの自由貿易協定ではなく、21分野の非関税障壁の撤廃という、広範な国内制度の変更を伴うと言われています。
 Imageその内、最も対立が激しいと言われているのが、知的財産権で、著作権や特許の部分です。なぜかと言うと、この分野はアメリカにとって主要な輸出品目なんです。アメリカは1200億ドル(12兆円)の外貨を、著作権と特許の使用料、つまり印税部分だけで稼いでいます。
 印税というのは、マンガ家や劇作家の方にはお判りだと思いますが、産業全体の規模からすれば、ごく一部であって、印税や使用料だけで12兆円ということは、ビジネスのインパクトはもっとずっと大きいということです。文化産業の場合は、印税などの周りで動くものの方が大きいのです。アメリカは、この使用料の金額だけで、自動車や農産物の規模を上回っていると言われていて、当然、この部分の強化に関心を持っています。
 ただ、アメリカ国内でも異論があって、EFF(電子フロンティア財団)というアメリカ最大の知財分野でロビーイングをしているNPOなど、危惧を表明しています註1)。
 アメリカ以外の国は、知財に関しては反対の立場で、激しく対立していると言われています。大抵の国は、輸入超過国だからで、アメリカが稼いでいる分、みんな払っていますから。
 国際的には、特許に関して、対立が激しい。例えば、ジェネリック医薬品を自由に作らせるのか、規制をしていくのかという問題があります。
 ただ、日本により影響の大きいものとしては、著作権の分野で、著作権の保護期間をもっと長くしろとか、損害賠償請求をしやすくしろとか、輸出国として、アメリカは当然の要求を出してくるわけです。
 その中の一つに、非親告罪化があります。著作権侵害には、海賊版だけでなく、今の裁判所の考え方では、パロディなども含まれます。刑事罰では、個人は、最高で懲役10年、または1000万円以下の罰金。法人の場合は3億円以下の罰金になります。
 ところがこれは、親告罪なんです。被害者つまり権利者が告訴をしないと起訴することも処罰することもできないわけです。コンテンツの輸出国からすれば、相手国で告訴の手続きをするというのは不便な話で、告訴不要で、起訴・処罰できるようにしろと要求しています。
 この問題は、かなり日本特有の問題で、世界的に親告罪の国は少数派です。日本は親告罪で、しかも、二次創作などグレーな領域の著作物の利用が盛んな国でもある。
 例えば、コミケなどがその代表格で、75%までが既存の作品のパロディと言われています。許可はとっていないが、やり過ぎでなければ黙認というか放置されている状況です。これが非親告罪になると、権利者が告訴していない、許しているわけじゃないけど、処罰までは求めていないという場面で、警察なり検察が独自に逮捕したり、起訴・処罰することが可能になってしまう。
 これはかなり問題なんじゃないのかと、ネット上で、2000年代の後半に一度、大きな議論になり、その時点では、日本では非親告罪化は見送られています。
 しかし、今回、TPPでは個別のメニューでどうこうではなく、全部まとめてのんでしまうのではないかと危惧されています。註2
 


註1電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation, EFF)
米国内の有力な弁護士や大学教授らが同財団を運営。知的財産分野では米国内で強い影響力を持つ。TPPについて著作権の公正な利用が著しく制限される危険性が高いとして同国政府に警告してきた。2012年には世界のNPOや著作権の専門家らに働き掛け、TPPに反対するネットワークを立ち上げ、12月1~2日にニュージーランドで初会合を開いた。
【動画】TPP: インターネット最大の危機(EEF)


註2TPPでは全部まとめてのんでしまうのではないかと危惧されています。
日本劇作家協会「TPPに反対する緊急アピール」(2013年7月17日)

Index   マンガと演劇、どっちが規制が厳しい?

サイト内検索

日本劇作家協会プログラム

2017年度のプログラム(全11企画)

11月2日(木)〜21日(日)
カムカムミニキーナ
『>(ダイナリィ)
〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜』<

11月17日(金)〜26日(日)
燐光群
『くじらと見る夢』(仮)

最近更新された記事

  • 劇作家協会公開講座 2017年夏 +

    ご予約受付中《劇作家協会公開講座 2017年 夏》 続きを読む...
  • 東京・神奈川の「月いちリーディング」2017 +

    ツイート ドラマリーディング+ディスカッションの戯曲ブラッシュアップワークショップ月いちリーディング/東京・神奈川 概要 続きを読む...
  • せりふを読んでみよう 《17年8月》 +

    [見学] 初日と最終日は一般公開! 予約受付開始:7月17日(月)*俳優(受講)・劇作家(聴講)の応募受付は終了しました 続きを読む...
  • 「せりふを読んでみよう」予約フォーム +

    読み込んでいます... 続きを読む...
  • 研修課:次代を担う劇作家を育成するためのプロジェクト⇒受付終了 +

    2017年度の募集は終了しました 次代を担う劇作家を育成するためのプロジェクト「研修課」研修生募集 「研修課」は極めて実践的な講座です。 続きを読む...
  • 1
  • 2

アピール・決議

  • 「新共謀罪」に反対する表現者の緊急アピール +

    ⇒ アピールのPDFはこちら 「新共謀罪」に反対する表現者の緊急アピール 続きを読む...
  • 「“新共謀罪”に反対する表現者の緊急アピール」註とコラム +

    Index 「“新共謀罪”に反対する表現者の緊急アピール」註 続きを読む...
  • これまでのアピール等 +

    日本劇作家協会発表のアピール 2017年2月22日付 続きを読む...
  • TPP と著作権に関する緊急アピール +

    ⇒ アピールのPDFはこちら TPP 続きを読む...
  • 高市総務大臣の「電波停止」発言に際し 公権力のメディアへの介入・圧力に抗議する緊急アピール (2016年2月26日付) +

    ⇒ アピールのPDFはこちら 高市総務大臣の「電波停止」発言に際し公権力のメディアへの介入・圧力に抗議する緊急アピール 続きを読む...
  • 1
  • 2
  • 3