'10年6月26日(土)。第1回目の『月いちリーディング』は座・高円寺のけいこ場2で行なわれた。
18時からの公開リーディングを前に、今回の協力劇団である燐光群のメンバーを中心とした俳優たち11人が集まったのは13時。当協会リーディング委員の篠原久美子と長谷基弘による、リーディング方法などについて説明と簡単な演出を受け、俳優たちは稽古に入る。事前に戯曲を読んでいたとはいえ、作家が新人であるだけに先入観なく、まっさらな状態でせりふに向かう。
今回選出された2作品は、いずれも未発表未上演。せりふが俳優により立ち上がったのはこれが初めてだ。
稽古に立ち会ったふたりの若手劇作家は。
「
紙の上では立ち上がって来ないもの、見えなかったことが、せりふとなって発されることで、ずいぶん意識できました」(
中澤日菜子:報告書より)。
「
言葉がぴしぴしと音をたてて砕ける。燐光群の役者さんたちとの稽古で、私はその音を聞きました」(
楠原セツ:同)。

公開リーディングの参観者は約30名。冒頭、リーディング委員から趣旨と進行についての説明が行なわれ、続いて当協会会長の坂手洋二からの挨拶。ニューヨーク・シアター・ワークショップのリーディングを参考に、この有為な企画が立ち上げられたことが話された。
(写真中央は挨拶をする坂手洋二。その横に篠原久美子と長谷基弘。後姿は会場をぎっしり埋めたご参観の方々)。
第2回目からは1本のみのリーディングとなるが、今回はタイプの異なる2本が並んだ。初めに読まれたのは楠原セツ氏の『喫煙所』。「
会話の横すべりが面白く、センスある作品で、作品も劇作家も成長の余地が大きい」(
篠原久美子:報告書より)ことから取り上げられた。2本目の中澤日菜子氏の『海待ちノ月』は、「
幻想世界を現代的なタッチで描いた力のある作品で、こうした力のある若手劇作家を広く紹介する意味も込めて」(同)の選出。
1本のリーディングが終わるごとに行なわれたディスカッションは、ニューヨーク・シアター・ワークショップで採用されているリズ・ラーマン方式に則っている。アーティストの持つ優れた点を伸ばすことを目的とした批評方式で、4段階のプロセスを踏むものだ。
1.参観者からポジティブな感想・意見を述べる
2.作者の側から聞いてみたいことを参観者に質問する(シンプルなものに限る)
3.参観者の側から聞いてみたいことを作者に質問する(シンプルなものに限る)
4.批判的なものも含め、忌憚のない意見・感想・質問を述べ合う
作者の希望によっては途中の段階でやめることもできるが、今回は4段階目まで進み、忌憚のない意見が交わされた。
このディスカッションのよさは、単独の講師の講評とは異なる形の、多角的かつ重層的な意見が聞けること。ひとりの参観者の意見に対して違う角度からの意見が出て、それを受けてより深い意見が上がるなど、多くの見方が提示された。担当劇作家同士でも、「そういう方法も確かにあるだろうけれど、自分としてはこちらのよさを活かしたほうが…」等のやりとりがあり、作者のみならず参観者にとっても充分に興味深いだろうもの。
まだ周知の浅い催しだが、より多くの方々のご応募とご参観をお待ちしたい。
どうぞよろしくお願い致します。