戯曲セミナーってどんなところ?   
困ったときに帰れるところ

土田 戯曲セミナーで得たことや気づいたことは、いまの劇作に活かされていますか?

長田 いろいろな方から伺った様々なやり方が、ストックになっています。ある先生からは、単語帳にエピソードをいろいろ書いて、それを並べ替えながら話を作ると伺ったんですね。自分でも話に詰まったときはそうしてみたり。井上ひさし先生が詳細な年表を作られているのを見て、自分もあのくらい詳しい年表を作ろうって思うようになったり。実際に触れなければそこまでやろうとは思わなかった。

南出 ぼくはプロットを書く習慣がなかったんですよ。講師の先生にも書く派と書かない派がいたんですけど書く人のほうが多くて、書かない派の人も、自分なりの書き出す前の方法っていうのかな、そういうのを持ってる人が多かった。だから初めて自分でもプロットを書いてみたんですけど、すごいつまらないものにしかならなくて。で、台詞を書き始めるのをあえて我慢して、プロットの段階でわくわくするくらいまでなんとか追い詰めるぞと。そうやって書いたのが去年(2015年)の劇作家協会新人戯曲賞の最終候補になった『ずぶ濡れのハト』です。ぼくはセミナーが始まるとき、大事に使えそうな高くて分厚いノートを買ったんですよ。で、こっちのページに授業の内容を書いて、反対側にそのときふと浮かんだネタを書いて。この作品は、そのネタを拾いながら書いたんです。

長田 台詞を書くのは最終行程だっていう認識を、戯曲セミナーで初めて持ちました。

土田 ぼくは戯曲セミナーではプロットを立てろって言いますけれど、自分ではここ10年立ててないんですよね。長くやってるとだんだん当たりがつくようになってくる。いまぼくは、ラストの台詞を嘘でいいから書いてみるの。入口と出口、ってともかく最近思ってて、ここに出るには何を起こせばいいかなって遡って考える。とか偉そうに言うわりに、いま書いてるものは出口がなくなっちゃって、どう終わんの?って思ってるんですけど(笑)。

南出 こういう話もセミナーで出ますよね。講師の体験談を生々しく聞けたこともとてもよかった。自分のなかに、困ったときに帰れるところができた気がするんですよ。

土田 さっき話していた、同じ志を持った人との出会いという点はどうですか? 人間的な結びつき、できた?

南出 できました。ぼくは二十代の終わりから演劇を始めたから、大学のサークルでやってきた人たちのつながりがずっと羨ましかったんですよ。遠慮なしに相談したり頼んだりできる関係っていうか。いまではセミナー同期が、大学サークルの同期みたいになってます。

長田 いまのセミナーは会場が座・高円寺のけいこ場で、その雰囲気もよかったんでしょうね。

土田 いろんな人がいますよね。

長田 年齢も10代から70代まで。

南出 セミナーに来た動機も様々ですよね。同期のなかで濃く付き合ったのは20人くらいですけど、ぼくみたいにガツガツ勉強したいっていうのは半分くらいで、あとは家が近かったから自己啓発に来たとか、会社の仕事の役に立つからとか、そういう人もいらっしゃって。

土田 同期って仲間でもあるけれど、ライバルでもあるわけでしょ。

南出 やっぱりすごい力のある人っているんですよ。そういう人でも結果的に演劇を続けていないこともあるんですけど、その瞬間にそこですごい発想をする。自分とは違う発想の存在を知って、刺激も受けたし吸収もできましたね。

土田 講師と受講生も、友だちになったりライバルになったりするよね。ぼく、セミナーで知り合って付き合いが続いている人が何人かいる。

南出 講師と生徒の距離が近いなと思います。講義のあとに毎回交流会があって、講師の先生もけっこう参加してくれる。生徒と先生というよりは、劇作家同士に近いような…。


勉強したい人も楽しみたい人も

土田 個人によってセミナーに何を求めるかが違うから、思っていた講義と違うなと感じたこともあるんじゃないかな?

長田 課題が毎回たくさん出るような厳しい実践があるのかなと思ってたんですけど、そういうセミナーではないですよね。

土田 お芝居ってジャンルも千差万別だし考え方もいろいろ。自分がやりたいことに合致した先生がスパルタでやってくれるのはいいけれど、合わない場合が多いことを考えるとそれは難しいよね。

長田 受講して9年経って覚えているのは、授業の課題で自分がなにをやったかっていうことじゃないんです。しっかり残っているのは、さっきの斎藤憐さんの登退場のことだったり。結局、実践っていうのはあとから嫌でもやるわけだから、まずは劇作家という生き様に触れられたことが、一番よかったんじゃないかなと今は思っています。

土田 ぼくはさっきも言ったけど、セミナーを受講する前に一作でいいから書いたことがあると、よりいいんじゃないかなって今日のふたりの話を聞いて思ったんだよね。長田さんも南出くんも、書く苦労の実体験があったから、自分より経験がある講師にこうやって詰まったときはこうなってるんだよって言われると、多少の心当たりはある。でも全然書いたことのない人はどうなのかなあって。

南出 いや大丈夫だと思いますね。ぼくは経験があったからそういう目線で見ましたけれど、たぶん書いたことない人でも、書き始めることができたりするでしょうし。ただ、自主性に任されている分だけ、受講者側の意識によるかなとは思います。自分で歩く気があればどんどん歩けるし、本人にそんなに歩く気がなかったとしても、1年間楽しく過ごせる。実際、ガツガツ勉強したい人も演劇を楽しみたい人もいますよね。いまぼくは、各々の求めるものはある程度満たしてくれる場所だって感じています。

長田 すごくオープンな感じですよね。

南出 欲望の強い人は、欲しいものはちゃんともらえる。

土田 掘ったら掘っただけ出てくるってことだよね。

長田 そう。でも掘らなくても1年間楽しく過ごせて。やっぱり戯曲セミナーで一番大きいのは、1年を通じていろんな劇作家に会えるってことですから。

土田 いま実際に活躍してる人たちが次から次に来るからね。

南出 各講師が自分の十八番を出してくるじゃないですか。平田さんと長谷さんが俯瞰したことを教えてくれて、それ以外の方は台詞とか構成とか、一番得意なものを披露してくれる。それはこの講座の面白いところだと思いますね。講師の皆さん、十八番を披露したあとは満足な顔をされるし(笑)。


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日本劇作家協会プログラム

2017年度のプログラム(全11企画)

11月2日(木)〜21日(日)
カムカムミニキーナ
『>(ダイナリィ)
〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜』<

11月17日(金)〜26日(日)
燐光群
『くじらと見る夢』(仮)

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