第25回劇作家協会新人戯曲賞選考経過


受賞作

三吉ほたて『泳げない海』



選考経過    選評 (追って掲載いたします)



<審査会の模様>
左から:横山拓也(司会)、坂手洋二、篠原久美子、マキノノゾミ、
土田英生、渡辺えり、佃典彦、瀬戸山美咲


<授賞式にて>
左から:渡辺えり(劇作家協会会長)、三吉ほたて

最終候補作
 『宮城1973 〜のぞまれずさずかれずあるもの〜』 大西弘記 (神奈川県)
 『月漸く昇る』   在原彩生 (千葉県)
 『Gloria』      奥村千里 (東京都)
 『郊外組曲』    方丈栖 (愛知県)
 『泳げない海』   三吉ほたて (神奈川県)
 『盲年 (もうねん)』 藤井颯太郎 (京都府)
 
最終審査員
  坂手洋二 篠原久美子 瀬戸山美咲 佃 典彦 土田英生 マキノノゾミ 渡辺えり
  司会:横山拓也

 *第25回劇作家協会新人戯曲賞の総合情報はこちら

選考経過   横山拓也

 第25回の今回、審査員の男女比についてほぼ同数を目指すという提議が理事・運営委員会で承認され、女性劇作家3名、男性劇作家4名、計7名が審査を行いました。まず、各作品について審査員からコメントを聞きました。

『宮城1973〜のぞまれずさずかれずあるもの〜』
 坂手氏「全作品の中で一番読みやすいが、物語の都合のために現実や事実を引き寄せていることが気になる」。瀬戸山氏「“生まれるとは何か”という問題をもっと掘り下げてほしかった」。渡辺氏「人物のエピソードをもっと深掘りできれば現代に一石を投じる作品となった」。

『月漸く昇る』
 マキノ氏「主人公の高群逸枝と対立する登場人物が出てこないのが物足りない」。篠原氏「女性史研究の草分けである高群逸枝を評伝劇にしたことは評価したい。しかし、いくつかの要素が劇的に機能していない」。渡辺氏「夫がどういう人物なのかをもっと描けば良かった」。

『Gloria』
 土田氏「作者がこの史実を使って何を描きたいのかが伝わってこない」。坂手氏「ゲッペルスとマレーネのやりとりは歴史のifをうまく取り入れて、葛藤する姿が描けている」。マキノ氏「マレーネがインタビューされる時期がはっきり提示されないので、インタビュアーの立場が曖昧になってもったいない」。

『郊外組曲』
 佃氏「うまいが最終的には肩透かしをくらった印象。もっとシーンを絞ってドラマを構築すべき」。土田氏「登場人物が魅力的に描かれている分、それぞれの行方が尻切れトンボになるのが気になる」。篠原氏「登場人物がモブの様。描くために選んだ“場所”に対する意識が弱い」。

『泳げない海』
 渡辺氏「自分の高校時代の思い出が蘇ってくるような風景。現代社会の子供たちの問題を巧みに描き出している」。佃氏「登場人物たちをいきいきと描けている。職員室に生徒がやってくる設定がうまい」。瀬戸山氏「計算を苦手としている生徒を描くのに、家庭科の授業に影響が出ているシーンを持ってくる面白さ」

『盲年』
 坂手氏「つかみにくい作品だが、社会の拠り所の無さを心象風景で強引に描き切ろうとする迫力は感じた」。佃氏「読み手にとっては不親切な作品だが、突き刺さるセリフは多い」。渡辺氏「暗喩的な表現で“なぜ人間はセックスをするのか”という根源的な真理を追求しようとしているのでは」

 1回目の投票では一人2票ずつ投じました。結果は以下の通りです。

『宮城1973 〜のぞまれずさずかれずあるもの〜』
『月漸く昇る』
『Gloria』  坂手
『郊外組曲』 坂手 篠原 瀬戸山 土田 マキノ 
『泳げない海』篠原 瀬戸山 佃 土田 マキノ 渡辺 
『盲年』   佃 渡辺


<投票結果> 黒丸が1回目、赤丸が2回目。

 休憩後、言い足りなかったことなどを述べ合う時間となりました。
 『盲年』について篠原氏は「上演に期待できる作品だが、戯曲のコンクールとしてはどうか」と指摘。『月漸く昇る』について土田氏は「転換の多さや場所の選定などが甘く、どういう場所でどういう会話を行えばドラマが生まれるかを考えてほしい」と技術的な面を問題に挙げました。『郊外組曲』について瀬戸山氏は「町が壊れていく様が描かれているのが面白い」と評価。『泳げない海』についてマキノ氏は「資本主義社会に対する怒りをユーモアや優しさで乗り越えようとする姿勢が好印象」と述べました。

 決選投票は一人1票ずつ投票。『郊外組曲』に瀬戸山氏、土田氏が、『泳げない海』に坂手氏、篠原氏、佃氏、マキノ氏、渡辺氏が投じ、5票を獲得した三吉ほたて氏の『泳げない海』が受賞作となりました。




選評 追って掲載いたします
坂手洋二
      

篠原久美子
      

瀬戸山美咲
      

佃 典彦
      

土田英生
      

マキノノゾミ
      

渡辺えり
      

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2019年度のプログラム(全12企画)

▽ 1月23日(木)〜30日(日)
劇団チャリT企画
『それは秘密です』
作・演出:楢原 拓

▽ 3月11日(水)〜15日(日)
OFFICE SHIKA PRODUCE
『罪男と罰女』
作・演出:丸尾丸一郎