主旨
21世紀も10年目を迎え、インターネット・携帯電話・ファストフードはもはや世界の共通語。
画一的な文化・生活環境を、国境を越えて共有する時代になりました。
環境の変化は利便性をもたらす一方で、既存のコミュニティや多様な価値観のありようを大きく揺るがせてます。
国や共同体の枠組みが失効しつつあるいま、社会と個人の関係は新たな枠組みのなかで問い直されるべきです。
『アジア劇作家会議‘09』には、人種・文化・宗教・言語が交錯する東南アジア4カ国(インドネシア・シンガポール・フィリピン・ベトナム)、そしてオーストラリア・日本の劇作家が参加します。
戯曲のリーディング上演と作品背景をめぐるトークセッションを通して、転換期の世界を生きるわたしたちの“いま”を問い、新しい時代における多様な生の可能性を探ります。

オーストラリア
『ホリディ』
初対面のふたりの男のたわいないやりとりが、個人的な夢想、隠れた不安、自分だけの神話、そしてまったく説明のつかない行動への探求となっていく。パフォーマンスとユーモアとバロック音楽が不思議に融合し、インスピレーションを刺激する。
作:レイモンド・コルテーズ
1968年生まれ。劇作家、脚本家。ビクトリア芸術大学を卒業後、94年ランターズ・シアターを創設。2000年までは同劇団の芸術監督を務める。見た目は面白く軽いタッチで描きながら、哲学的な深さを持つ作品を執筆する。海外での上演作品も多数。


フィリピン
『ドクター・レスレクション:町を治療します』
自らの地元に発展をもたらしたいとの願いから市長に立候補したドクター・レスレクションだったが、対立候補となった徒弟や地域の人々との間に確執が生まれ……。漁村を舞台に繰り広げられる政治と階級闘争を描く。
作:ラエタ・ブコイ
1976年生まれ。劇作家、小説家。幼年時代を中国人学校で過ごす。家庭内暴力や近親相姦など家族の崩壊と暴力をテーマとする戯曲を発表。主な作品『ドゥルセの胸に1000の詩を』(2001、燐光郡で05年上演)、『イノセントな人々』(01年)など。
 

日本
『杏仁豆腐のココロ』
クリスマス・イブの夜、長年同棲していたもう若くもない男女が別れを決意する。二人の間にできた子の流産、女の父親の経済的破綻、母親の失踪、これまで本音で語ることのできなかったことを口にし始める二人だったが……。
作:鄭義信
1957年生まれ。劇作家、脚本家。87年新宿梁山泊の旗揚げに参加。『ザ・寺山』(93)で岸田戯曲賞を受賞。劇団退団後は、劇場からの委嘱作などを数多く執筆。人生の機微を描いた戯曲で高い評価を得ている。アトリエ・ダンカン所属。


ベトナム
『三姉妹の家』
ひとつ屋根の下に暮らす三姉妹――騙されやすい長女、夢見がちな次女、軽薄な三女が、各々人生の悲劇を背負う。女性の精神的現実を象徴する三人の心の葛藤を通じてベトナムの現代社会を描く。
作:グエン・トゥー・フォン
1970年生まれ。劇作家、脚本家、ディレクター。ハノイ出身だが、現在はホーチミンを活動の拠点にしている。ベトナムの女性たちに関わるテーマをモチーフに数多くの作品を執筆。テレビ局のディレクターとして「あいのり」のベトナムバージョンを手がける。
 

インドネシア
『3P』
1996年ジョグジャカルタの大学構内で、民主派の雑誌が廃刊に追い込まれたことに抗議して、学生グループが焚書事件を引き起こす。13年後、抗議行動に関与した3人が偶然再会し、事件の裏にあったエピソードが徐々に明らかになり……。
作:ジョネッド・スリャトモコ
1976年生まれ。劇作家、小説家。ジョグジャカルタの大学を卒業後、テアトル・ガラシを経て、97年にテアトル・ガルダナッラを創設。日常生活を描いたリアリズム作品が多い。十代を主人公とした作品集『父は脳卒中でも死ななかった』(2005)など。
 

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日本劇作家協会プログラム

2019年度のプログラム(全12企画)

▽ 5月11日(土)〜19日(日)
劇団扉座
『新浄瑠璃 百鬼丸~手塚治虫『どろろ』より~』

▽ 5月29日(水)〜6月2日(日)
JACROW
『ざくろのような』
作・演出:中村ノブアキ

▽ 6月5日(水)〜9日(日)
演劇集団ワンダーランド
『過激にして愛嬌あり 宮武外骨伝』
作・演出:竹内一郎