プログラム委員より (2021年就任時のご挨拶)
 ── 長田育恵 (てがみ座主宰・劇作家)

 この度、松村さんと共に、座・高円寺の劇作家協会プログラム委員に新たに就任いたしました。委員となって思い描くことは、やはり、この『劇作家協会プログラム』と銘打たれるすべての公演が充実した上演成果を出し、お客様にとっては必ず観に行きたいものに位置づけられる、そんなラインナップにしていきたいということです。また協会の名を冠するのですから、多彩な劇作家の作品に出会える場にしていきたいと思っています。

 私自身としては、2013年に採択していただいたことがあります。その時は、劇団旗揚げから4年目で、中劇場に挑戦したいが二週間も上演して観客動員することは難しいという状況でした。でも採択時に、同じ状況だった他劇団と一週間ずつ組み合わせて『新しい劇作家シリーズ』という枠を作っていただき、上演を果たすことが出来ました。そして中劇場での上演が叶ったことから、自劇団としては初めてのツアー公演も実現することができました。さらには『新しい劇作家シリーズ』の枠に参加した劇団間で「互いの劇団のアフタートークに参加し合う」・「プログラム委員の方にもアフタートークゲストとしてお越しいただく」など相互の連動もあり、新たな観客層とも出会うきっかけとなりました。中劇場での上演は、やはりとても大変でしたが、それでも当時のプログラム委員の渡辺えりさん・マキノノゾミさんにご覧いただけたことや、劇場からもサポートが受けられたことは、大きな安心感のもと、上演活動に打ち込める体験となりました。
 この二年間、コロナ禍で上演活動の一時停止を余儀なくされ、再始動するにも上演の筋力が衰えてしまったところも多々あるのではないかと思います。そういった皆さんにも、ぜひこのプログラムを再起動の足がかりにしていただきたいです。

 採択にあたって、私が最も重要視するのは、上演実現力と作品のクオリティです。
 正直、座・高円寺という劇場で上演するには、企画力のみならず、制作体制、演出家をはじめとするスタッフ陣、技量ある俳優陣など安定した座組が必要です。
 特に、旗揚げ間もない劇団で、小劇場からのステップアップを考えている企画者には、応募時の企画書だけでは上演が可能なのか判断がつかない場合があることが考えられます。そのため、企画書を読ませていただいて、場合によっては、プログラム委員との(オンライン等での)面談も適宜設けさせていただく予定です。
 そして、採択させていただきましたら、上演までの精神的な伴走者であれるように、可能な範囲ではありますが、務めさせていただきたいと思っています。

 面白い演劇は、ひとを元気にします。ぜひ、多彩なプログラムを選定したいです。
 皆さまからのご応募をお待ちしています。



 ── 松村 武 (カムカムミニキーナ主宰・劇作家・演出家)

 この度、座・高円寺の劇作家協会プログラムの委員を新たにやらせていただくことになりました。十年以上の長きにわたって、毎年このプログラムの枠内で公演をさせていただいてきた立場として、この座・高円寺と劇作家協会のタッグによる伝統的な試みが、より一層演劇ファンの皆様にとって目を離せないような場になっていけるよう、自分の経験を少しでも反映できればと思っています。

 私として期待することは二つあります。

 一つはやはり、このプログラムが演劇界における新たな可能性の発信源の一つになるということ。確かに座・高円寺という個性的な劇場を、動員的に、また演出的に使いこなすということは、若い方々にはなかなか大変なことだとは思います。しかしだからこそ、この劇場に果敢にチャレンジするこれからの人材を私たちは待っています。公演期間やスタイル、スタッフ確保、あるいは演出的なことなども含め、できうるかぎり公演実現のための相談、サポートができればと思っています。限界はありますが、それだけ、新たな人材との出会いを、私たちが待っているということをぜひ頭に入れて企画をご検討いただければと思います。

 もう一つは、すでに動員に勢いがつき始めた“集団”の皆さんの次のステップとして、ぜひこのプログラムの枠へのチャレンジをお薦めしたいということです。現状東京においては、小劇場では満員になる動員を越えたけれど、さらに動員増を狙って中劇場へ移行していきたいという時の次の劇場の選択肢が少ないという実情があると思います。これは、継続して表現を作る集団の定期公演というものがなかなか軌道に乗りづらく、長期的な劇団形態が退潮傾向の印象にあることの原因の一つかもしれないと私は思います。この段階は、実は観客にとっては一番その集団を見たい注目の時期です。このプログラムは、そんな旬の劇団の皆さんの次へのチャレンジの場として非常にフィットするのではないかと思います。

 これら新たな期待を感じさせる皆さんの勢いと、すでにこの座・高円寺を必然として使いこなす常連のベテラン劇団の皆さんのさらなる深化。これら二つが、いい意味で表現のしのぎを削る、演劇ファン注目のラインナップになることを期待し、たくさんのご応募をお待ちしています。

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