東日本大震災から丸1年となる2012年3月11日、ニューヨーク他アメリカ各地で、
『震災 SHINSAI: Theaters for Japan』 と題した企画が開催されるとのお知らせがありました。
被災地の演劇人、劇場などのための支援金の募集を目的とし、日米の劇作家による
東日本大震災に絡んだ新作短編戯曲の、公開ドラマリーディングまたは上演が行なわれます。
[日時] 2012年3月11日
[場所] ニューヨーク:Cooper Union大学内Great Hall http://cooper.edu/about-us/the-great-hall/)
他、同時多発的にアメリカ各地の劇場ならびに大学等
詳細は下記サイト(英語)でご確認ください。
[サイト] http://tcg.org/shinsai/
なおこの収益金は、日本劇作家協会に委託され、被災地の劇場、
演劇人達の活動の支援のための寄付とする予定です。

(会場で英訳メッセージが読み上げられます ⇒坂手洋二ブログ)
坂手洋二
三月十一日は私の誕生日だ。
東日本大震災、それに伴い起きた福島第一原発の非常事態。自分たちがたんに「被害者」であると考えることを、私は避けてきた。「3月11日を、私の、否、私たち日本人の、二度目の誕生日としなければならない」と思ってきた。だがそれは、自分で自分たちの新たな生き方を、見つけ出せればの話である。
あまりにも早く一年が過ぎた。
この一年間、数日に一度は、誰もが気がつく程度の「揺れ」があり、私たちはそれを、「あの日」の「余震」である、という感覚を持って受け止めてきた。私たちの意識はいつも「あの日」に戻る。
私たちにとってまだ「あの日」は終っていない。ではいつ終わるのか。学者たちや政府が指摘するように、まもなく来ると予測されている、あの日の衝撃に劣らない「次の大きな震災」が来るその日まで、私たちは「あの日」の延長を生きているのだろう。
私たちは、「あの日」以来、放射能による「目に見えない汚染」に晒されている。私たちは、この事態に対して正しい対応ができているかどうか、自分たちの国を監視しなければならなくなっている。例えば、日本政府が小児を対象に設定した「外部被爆のみで年間20ミリシーベルトまで許容」の基準がおかしいということを、私たちは強く指摘し続けてきた。
津波の被災地で「この風景は、空襲との違いは人が焼けていないだけだ」と言う高齢者がいた。今回の出来事はおそらく日本にとって、江戸時代から明治時代へと転換する開国、第二次世界大戦後の変革に続く、大きな「変化」であり、私たちはその渦中にある。
東北在住の演劇人たちは、自分の場所に踏みとどまり、地域と演劇の関係を洗いなおし、平常心を保とうとし、表現を続けている。例えば、津波から命からがら逃れ、一時は自分の家に住めなくなり、強いショックを受けて創作活動を停止していたある劇作家は、最近、被災地の子供たちと震災体験をもとにしたミュージカルを上演するほどに、ようやく回復した。
赤十字や日本政府による復興支援の援助は被災地に届いてはいるようだが、そうした被災演劇人たちの演劇活動そのもの、稽古場さえ不足している演劇創作の環境整備、困難を極める作品制作じたいに対する補助はない。あるいは極めて乏しい。ダイレクトに演劇人に届く今回の援助は、そうした「現場」、演劇人の生活と活動の整備に役立てられるはずですあり、たいへんありがたいことである。私が会長を務める日本劇作家協会はその援助を被災地現地の演劇人の皆さんに届ける役割を委託されたわけだが、民主主義と人間の自由を守るために、その任務を確実に果たすことを約束します。ニューヨーク、そして全米の皆さまの厚情、友情に、心から感謝いたします。
『震災 SHINSAI: Theaters for Japan』企画サイトなどより

・Charlie’s monologue from SEASCAPE By Edward Albee;
・CHILD IS FATHER TO MAN By Philip Kan Gotanda;
・WHERE WERE WE? By Richard Greenberg;
・An Excerpt from A FEW STOUT INDIVIDUALS By John Guare;
・『さようなら Ver.2」』(抜粋) /平田オリザ SAYONARA II By Oriza Hirata,
・Translated By Bryerly Long;
・THE ISABEL WHO DISAPPEARED By Naomi Iizuka;
・『はっさく』(抜粋)/石原燃 HASSAKU By Nen Ishihara, Translated By James Yaegashi;
・An Excerpt from the Musical THE SKIN OF OUR TEETH, Music By John Kander, Lyrics By Fred Ebb, Book By Joseph Stein;
・『残された人』/鴻上尚史 THE REMAINING By Shoji Kokami,Translated by Aya Ogawa;
An Excerpt from CAROLINE, OR CHANGE, Book and Lyrics By Tony Kushner, Music By Jeanine Tesori;
・『ゾウガメのソニックライフ』(抜粋)/岡田利規 An Excerpt from THE SONIC LIFE OF GIANT TORTOISES By Toshiki Okada, Translated By Aya Ogawa;
・『一時帰宅』/坂手洋二 DROPPING BY THE HOUSE By Yoji Sakate, Translated By Leon Ingulsrud;
・『血の問題』/坂手洋二 A PROBLEM OF BLOOD By Yoji Sakate, Translated by Leon Ingulsrud;
・『北西の風』/篠原久美子 WIND FROM NORTHWEST By Kumiko Shinohara, Translated By James Yaegashi;
・An Excerpt from PACIFIC OVERTURES, Music and Lyrics By Stephen Sondheim, Book By John Weidman;
・THE LENGTH OF THIS PLAY HAS THE HALF LIFE OF URANIUM, a “forever play” for Japan on 3.11 By Suzan-Lori Parks;
・『ふるさとを捨てる』/鈴江俊郎 ABANDON HOME By Toshiro Suzue, Translated By James Yaegashi
・A GUIDE TO JAPANESE ETIQUETTE By Doug Wright.
・他

山形出身でNY在住の俳優、ジェイムズ八重樫氏が、東日本大震災の報道に触れ、劇作家の友人たちにそれぞれ短い作品を書いてもらってそれを朗読する企画を立ち上げた。
ThePublic TheaterやLincoln Centerなどに場所の提供について相談したところ、ニューヨークの他の主要劇場にも声をかけられ、運営委員会が発足した。このイベントに日本劇作家協会も賛同。
エドワード・オールビー、リチャード・グリーンバーグ、ジョン・グワール、トニー・クリシュナー、スーザン=ロリ・パークスなど、アメリカを代表する劇作家に日本の劇作家も加わった。
ニューヨークのみで想定していた企画は発展して全米規模に及び、プロから大学の演劇部までも参加する形式となっている。

"Theater artists in Japan, centered around those living in the Tohoku region that was devastated by the great earthquake and nuclear accident, extend our hand to theater artists around the world to rebuild Tohoku and Japanese society, restoring the conditions that surround the art of theater, such as environments for creative activity, theater buildings, companies, rehearsal spaces, education and audiences. We seek to work with our international peers to demonstrate the potential of human beings and the theater to overcome adversity as well as the primordial power of expression on stage." -Yoji Sakate, President of Japan Playwrights Association
(震災・原発事故により壊滅的な打撃を受けた東北の在住者を中心とした日本の演劇人は、創作環境・劇場・劇団・稽古場・教育の場、そして観客を含めた演劇を取り巻く環境を取り戻し、東北地方・日本全体の社会を復興するのみならず、危機を乗り越える人間と演劇表現の可能性、舞台表現の根源的な力を証明していくために、世界の演劇人と手を携えあうことを求めます)

エドワード・オールビー、フィリップ・カン・ゴタンダ、 リチャード・グリーンバーグ、
ジョン・グワール、 平田オリザ、飯塚直美、鴻上尚史、トニー・クシュナー、岡田利規、
坂手洋二、篠原久美子、鈴江俊郎、 スーザン=ロリ・パークス、ダグ・ライト、
ジョン・カンダー、フレッド・エブ、スティーヴン・ソンドハイム、ジョン・ワイドマン